＊1998年に始めた上映活動とそれに関連する記録を書いて行きます。


001.記録を掘り出す（その１）

　1997年、パソコン通信の走りNifty Sereveに陰りが見えはじめた頃、日本映画街フォーラムという邦画専門のフォーラムの片隅にあるアニメーション会議室からその流れは始まりました。


以下、当時のNifty Serve(現@nifty)日本映画街フォーラムへの投稿より。ある作品を巡る誤解と論争の後、ある自称演出家に文句書き逃げに対し独り言に様に書き込んだものです。我ながら自分の動機付けに苦笑を禁じ得ません。もっと前向きになれよな…と。(わらい)。しかし便利だ。書き込んだ日時までそのまま保存されている。こういったアーカイブ性に現在のインタネットは欠けるんじゃないのか、と改めて思ったりしました。ちなみに私は劇場に一回行ったときの記憶のみで書いています。

「劇場版『ユンカース』のビデオ化希望」
　1997/11/27 00:34 HAMADA Shinichi

　もともと、文章力などないのだけど、なんか私って悪い事を書いたか
な、と落ち込み気味です。確かに、旧映画フォーラムの時から必要以上
に押井守の情報をＵＰしていたり、そんな事も関係あるんだろうか？

　こんな落ち込んだ時、観たい作品があります。しかし、観る事が出来
ないのです。

　題名は『ユンカース・カム・ヒア』です。この作品は２年前、『耳を
すませば』『GHOST IN THE SHELL』等の劇場作品と同じ年に公開された
作品ですが、その年に公開された映画の中でも特に記憶に残っています。

　監督は佐藤順一氏、一番印象に残っているのは『メモル』でしょうか。
あと、割と最近ですが休みの日、ふと見ていた『げげげの鬼太郎』で意
外に怖い演出が気になってエンディングテロップを見たら佐藤監督で驚
いた事があります。

　話しは『ユンカース』に戻りますが、私は近年でもこの作品を気に入
っています。劇中の主人公の少女が木の葉の中を走るシーンを見ただけ
で、そのアニメーションの中の自然な演技にいたく感動したものです。
物語も、多感な少女と喋る犬が三つの奇跡を起すというシーケンスを日
常描写とともに、アニメ映画でここまで出来るのか、と思わせるのに十
分な作品でした。

　実は、バンダイビジュアルでＬＤ／ビデオの発売が予定された時には
絶対、買うぞ、決意したのです。・・・しかし、今に至るも未発売のま
まです。私は、この作品を時代の隙間に落ちた作品だと思ってます。子
供向けかと思いきや、少し年齢層は上。しかし、ＬＤ購入層にはアピー
ルが足りない。一見、線の少ない、のっぺりした絵でアニメファン向け
でないかもしれないが、一度、動き出したら足の裏に根の生えた様なジ
ブリ作品とも違う、押井守的な演技とも違う、ごく自然な演技が見られ
る。確かに、アニメである必要が感じないかもしれないが、後半から終
盤にかかる盛り上がり部分はアニメでないと不可能なギミックが用意さ
れている。私は、この様な作品のＬＤが発売されない事を残念に思う。
もし、企画が残っているのであれば、ビデオソフトのみでも発売して頂
ければと思います＞バンダイビジュアル様

　興味のある方は劇場版前に作られた『ユンカース』の別バージョンが
ビデオで見る事ができます。その中に予告は入っていますので、見ては
如何でしょうか？

（つづく） 　

　こんな感じで映画『ユンカース・カム・ヒア』を観たいという気持ちを強めて行ったわけです。あの頃は未だ二十代でした。



続けて、その２。

002.記録を掘り出す（その２）

　1998年の5月頃だったかな。意を決してバンダイビジュアルさんに電話してみました。その時の記録です。誇張していません。ええ本当に。


　以下、当時の書き込みより。（誤字脱字はそのままです）

　さて、『ユンカース・カム・ヒア』が公開されたのが９５年。この作
品は一部で高い評価をされたが未だビデオ／ＬＤ化されません。困った
ものです。以下はバンダイ・ビジュアルに電話した際の会話。

私：９５年公開の佐藤順一監督の劇場版『ユンカース・カム・ヒア』の
　　ビデオ化についてお聞きしたいのですが……

バンダイ（以下「バ」）：ビデオですか？出ておりますが、既に廃盤と
　　なっております。

私：（げ、いつの間に…と思いつつ）あの、ＯＶＡ版ではありませんよ
　　ね？

バ：少々お待ちください。……やはり、出ていますね。

私：監督はどなたですか？

バ：え……と、あ、これはビデオ版ですね。 劇場版ってあるのですか？

私：(汗)ええ、それでビデオ化の予定があ ったと思うのですが……

バ：どこかでご覧になったんですか？

私：２年前のバンダイ・ビジュアルさんの店頭誌で見ました。そこで発
　　売決定後、延期されたと思うのですが……

バ：それでしたら、事実上の中止だと思われます。

私：（やっぱり）ああ、そうですか……（残念）


　思うに、バンダイさんですら忘れている作品を誰が求めているんだろ
う？でも、この作品をもう一度観たいと思っている人は確実にいる。知
っている限り５人はいます(^^;。そこで、もう少し人員を募集して上映
会を目指しています。場所日時等はまだ未定ですが、このレアな作品を
観てみたいと思う方は意思表示して下さい。現在、私と以前、映画フォ
ーラム等で活躍されていた雨月＠小西さんと、もう一方で話しを進めて
います。ただ、上映開始時間は午後９時くらいと遅くなるかもしれませ
ん。場所は東京都内予定です。

それと、ニフティ上でもその他ネットワーク上でも、観てみたいと思う
方を募集していますので、佐藤順一監督ファンの方や元ＴＭＮの木根氏
のファンがいましたら強引につかまえておいてください(^^;

　現在情報は、私のホームページでもフォローしています。
　　　　http://www2s.biglobe.ne.jp/~c-sphere/

　参照：
　　　劇場版『ユンカース・カム・ヒア』
　　　　　原作・音楽：木根尚登
　　　監督・絵コンテ：佐藤順一
　　　　　　　　脚本：布勢博一
　キャラクターデザイン
　　　　　・作画監督：小松原一男
　　　　　　美術監督：門野真理子
　　　　　　音響監督：斯波重治

【三行説明】
　１１歳の主人公ひとみは、初恋に両親の離婚にと悩める一年を送る。
パートナーは喋る犬ユンカース。小６の女の子が多感なユンカースと繰
り広げる奇跡の物語。是非、体験してください。

　ちなみに、この映画、毎日映画コンクールにてアニメショーン映画賞
を授賞しています。『耳をすませば』『GHOST IN THE SHELL』を押さ
えてですよ。そんな作品を無視する、日本の市場は正しいと言えるのか、
と私は偶に悩むのですよ。悩む私が変なのか、メカ＆美少女という現在
の市場が正しいのか、その辺に興味がある方は是非、賛同して欲しいと
思います。それを自分の目で確かめてみるのも一興だと思います。ただ、
メカ＆美少女こそ全てと思われる方は、ご遠慮下さい。そんなものは期
待すべくもありません。こと幸いに。

　進歩ありませんね。